「上総さま」


自室で一人あぐらをかき、まるで瞑想でもしているかのように目を閉じて動かない上総の元に、報告が入る。


「何事か?」


「里の結界付近に、人が集まりつつあります。遭難者の捜索だと言うことですが……」


ニヤリと、上総の口の端が上がる。


「放っておけ。どうせ、普通の人間はここには入って来られない。事が済むまで騒がせておけ」


「はい……」

 
明日は、折しも満月の夜――。


「守りの石」


そして、現存する「純血体の娘」

 
その力を得れば、この世に怖い物など無くなる。


それを使ってこの世を支配してみるのも、また一興。