敬悟の瞳は、赤く禍々しい光を放っていた。


それは、間違いなく上総のと同じモノ――。


「け、敬にぃ!?」


掴んでいた茜の手を敬悟がゆっくりと、外す。


「うそ……でしょう?」


信じられずに呆然とする茜に追い打ちをかけるように、上総の言葉が続く。
 

「ああ、貴方の親友の高田真希。彼女を鬼人化させたのは、彼ですよ」


とっておきの話をするかのように、楽しげに話す上総の言葉に、もはや茜は発する言葉を失っていた。



『何があっても、俺は、お前の味方だ。それを忘れるな』

 
あの時、敬悟の言っていた言葉を、茜は麻痺してしまったような心の片隅で思い出していた。