「白鬼……」
力無い笑みを浮かべる明日香に、傍らに座り込んだ白鬼も、微かに口の端を上げる。
でもそれは笑顔にはほど遠い。
「明日香、今から私の持てる力を全部あげる。だから……」
白鬼は苦しそうに、喘いだ。
ただ歩いてきただけなのに、全身で息をしている。
明日香は、そこに死の影を見て取って、顔を歪めた。
「白鬼、だめ……よ」
「彼とここから逃げて……」
最後の力を振り絞り、白鬼は明日香の胸に手をかざした。
腹の中心から全身を巡るエネルギーを全て手の平に集約する。
それは、青い光となって明日香の胸の上で小さな石に姿を変えた。
青い閃光が、明日香の全身を包む。
その刹那、明日香は白鬼の中に在るもう一つの人格を感じ取った。
茜もまた、薄れゆく意識の下で母の優しい波動を感じたが、それもすぐに闇に閉ざされてしまった。
白鬼の命の炎が、ついに尽きたのだ。



