白昼夢。
正に、それは白昼夢を見ているようだった。
二メートルはあろうかという巨体に、赤黒い肌。
盛り上がった山の様な筋肉の頂上に、四角い岩の様な頭が乗っている。
そこあるのは、獲物を捕らえたら決して放さない、肉食獣を彷彿とさせる鋭く尖った犬歯。
まるで血の色を思わせる真っ赤に燃える双眸。
頭上に生えている『角』
薄暗い洞窟の中からゆっくりと姿を現したのは、赤鬼。
間違いなく、茜を襲ったあの赤鬼だった。
その腕には、ぐったりと意識の無い明日香を抱いていた。
「明日香!」
衛と玄鬼が同時に声を上げる。
だが、明日香は何の反応も示さない。
「すでに儀式は完了した。何も案ずることはない。時間が経てばじきに目覚める」
ぎろり。
赤鬼の鋭い眼光が、衛を真っ直ぐ射抜く。
「そやつが明日香をたぶらかした元凶か」
「明日香に何をした?」
異形の赤鬼の姿を前にしても臆することなく、衛は真っ直ぐその目を見据えた。



