鬼の一族を統べる最強の鬼『赤鬼(シャッキ)』
赤鬼を補佐していた『蒼鬼(ソウキ)』は、赤鬼と袂(たもと)を分かち、既にこの世にはない。
次に『玄鬼』と『白鬼』の兄妹。
その下に、多くの鬼の一門が連なる。
事実上玄鬼は、一族の中では第二の実力を持っている。
それでも、赤鬼の力には遠く及ばないのだ。
「ちくしょ……明日香を……連れて行かれた」
「黙っていて」
呻くように呟く玄鬼に白鬼が言う。その声は、もうささやきに近い。
傷の表面は塞がったが、失った血液の再生が追いつかない。力が足りない。こんな経験は初めてだった。
白鬼の限界点が近付いていた。
「ごめんなさ……もう……」
ささやくと、白鬼はその場に崩れ落ちた。
茜の意識も、それとともに遠くなる。
「白鬼!」
玄鬼と衛の呼ぶ声が聞こえる。
「行って。明日香の元へ……彼女を助けて」
苦しい息の下で、やっとのことでそれだけを言葉に変える。
「その必要はない」
低く響く声に、一同がびくりと身をすくめた。



