女性の話を聞き終わるやいなや、白鬼は屋敷の外へと駆けだした。
その後を、衛が必死で付いていく。ここしばらく病人生活が続いていた衛には、かなりきつい。
「いったい、どういうことなんだ!?」
上がる息の下で、やっとのことで衛は前を走る白鬼に質問を投げた。
「密告者がいたの! あなたを匿っていたことが、赤鬼に全部筒抜けになっていた」
だから予定よりも早く、赤鬼は帰ってきたのだ。
「それで、明日香さんは!?」
衛の問いに、白鬼が足を止めた。通常なら何のことはない運動も、今の彼女には大分負担になっている。
白鬼の肩も、衛に負けず劣らず大きく上下していた。
――もしかしたら、もう間に合わないかもしれない。
それでもこの人は、明日香と共にこの里を出ようと、彼女を助けたいと思うのだろうか?
焦燥感と複雑な想いが、白鬼の中でせめぎ合う。
「いいですか。今から私の言うことを良く聞いて下さい。理解出来ても出来なくても構いません。でも、決断して下さい。これからどうするか」
出来るなら、このままこの里を出ていって欲しい。
微かな願いを込めて言った白鬼の言葉に衛は少し考え深げな表情をしたが、すぐにこう答えた。
「決断なら、とうに出来ているよ」



