衛の足は、ほぼ元取りに治療出来たが、その分、白鬼の消耗は激しかった。
体が、泥のように重く、立ち上がるのがやっとだ。
たぶん、今までこんなに精神エネルギーを消耗したことはないのだろう。
白鬼の中の茜にも、それがはっきりと分かった。
「これで、足はもう大丈夫です。では、行きましょう」
「ありがとう。大分無理をさせてしまったようだ……大丈夫かい?」
明らかに具合の悪そうな白鬼の様子に、衛が心配気に顔を覗き込む。
「私は平気です。私のことよりも、ご自分のことを心配して下さい。これから、何をしようとしているのか分かっていますか? もしかしたら……」
そこに有るのは、死かもしれないのに。
「分かっている……つもりだけど。その、君の治療が無駄にならないように頑張るよ」
本気が冗談か分からない衛の言葉と表情に、白鬼は口の端を少しだけ上げた。
「なら、行きましょう」
二人は、明日香の張った結界を抜けて歩き出した。



