透き通るような、白い肌。
額に浮かぶ、金色の紋様。
純白に輝く、長く豊かで真っ直ぐな髪。
そこに映っているのは、野生の豹を思わせるしなやかな肢体を濃紺の作務衣に包んだ、美しい少女。
人型の玄鬼によく似た、少しつり加減の大きな琥珀色の瞳が、驚いたように茜を見詰めていた。
これが白鬼の本来の姿なんだ――。
「おちびさん、悪いけど、明日香さんの所まで案内してくれるかな?」
「え?」
既に驚きの波が去ったのか、それともある程度予想したことだったのか、とんでもないことをごく穏やかに言う衛の顔を、茜は呆然と見上げる。
「彼女には、命を助けて貰った。今度は、私が彼女を助ける番だ」
「明日香を……助ける?」
ゆっくり、衛は頷く。
「彼女は、ここから、鬼隠れの里から出たがっているんだ。だから、そのために私が出来ることをしようと思う――。手伝ってくれるかい?」
口調は柔らかいが、真っ直ぐな瞳には固い決意が垣間見えた。
茜は、この瞳を良く知っている。
自分の意志を貫こうとするときの父の瞳。
穏やかだが、こうと決めたときの頑固さは、一七年間娘として暮らしてきた茜自身が一番良く知っていた。



