なんてこと。
何だって、こんな最悪のタイミングでここに来たの?
何のために?
家で赤鬼に襲われた時は、たぶん命の危険を感じたから、無意識によそに逃げたんだと茜は思っている。
鬼志茂の時は、同情したから鬼女の思いに引かれたのだと玄鬼が言っていた。
そして、鬼が淵の時は、不用意に石を使おうとしてコントロールが効かずに、鬼に結界の中に引き込まれた。
でも、今度は……?
確かに、敬悟と信司を助けたい一心で石の力を使った。
どこかに飛ばされるのは予想できる。
でも何故『ここ』なんだろう?
「君にも迷惑をかけるね、おちびさん」
衛が、白鬼をそっと抱き上げる。
その時、白鬼の気持ちが茜に流れ込んできた。
愛しい。
愛しい。
それは、淡く一途な恋心。
――白鬼は、衛を、お父さんのことを好きだったの?



