ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】


この感覚には覚えがある。


あの日。


赤鬼に襲われた日に感じた、圧倒的な力に対する恐怖の念。


明日香もそれを感じたのか、不安げに足を止めた。


「明日香さん?」


普通の人間である衛には、そんな感覚は備わっているはずもなく、傍らで急に怯えたように表情を硬くした命の恩人の少女の顔を、ただ気遣わしげに覗き込んだ。


『ちっ!』っと、玄鬼が舌打ちをして、足を止めた恋人達に向かって叫び声を上げる。


「明日香! 赤鬼が帰ってきた。一度屋敷に戻った方が良いぞ!」


「ええ、分かっているわ」


青ざめてはいるが、明日香は気丈に頷いて白鬼に視線を移す。


「白鬼は、衛さんとここにいて」


え!?


「で、でもっ」


「お願い。必ず戻るから、それまでお願い!」


――彼を守って。


明日香の心の声が、白鬼の能力を介して茜に届く。


必死な明日香の様子に、茜は事態が切迫していることを悟った。


恐らく、赤鬼にここが見つかれば、父は命を奪われる――。


「分かりました!」


茜は、しっかりと頷いた。