衛のかくまわれている里外れの空き家に向かう道すがら、玄鬼に訝しがられながらも、茜は、今の状況をおおむね聞き出すことに成功した。
二週間ほど前に、大学の考古学チームが、この『鬼隠れの里の近くの洞窟』へ遺跡発掘にやってきた。
それは以前から予定されていた事だったが、何をどうしたか通常は起こりえない事故が発生した。
『結界』を破って、その一行が鬼隠れの里のエリアに入り込んでしまったのだ。
そこで『防御システム』が働き、一行は落盤事故に見舞われた。
全員が死亡したかに思われたが、一人だけ生存者がいた。
それが、教授の助手として発掘に参加していた神津衛。
つまりが、茜の父だった。
それを、里の者に内緒で助けたのが、一族の総領の娘で茜の母親。
木部明日香(きべあすか)。
理由は分からないが、茜は、父と母の出会った時代に飛ばされてしまったようだ。
何か関係があるとすれば、思い当たるのは、最後に聞いた玄鬼の声――。
『そうだ。それで良い、茜』
確かに、あれは玄鬼の声だった。
結界の中に入れないと言いながら、やはり助けに来てくれたのだろうか?
いっそ、ここの玄鬼に事情を話して――。
「どうした白鬼? 本当に、お前おかしいぞ。まだボケルには早いぞ妹よ」
「うん……え!?」
妹!?
白鬼って、玄鬼の妹なの!?



