幾分慣れてきた、意識の覚醒の瞬間。
それでも、気持ちの良い物ではない。
くらくらと世界が回る感覚に、三半規管が悲鳴を上げている。
ううっ。吐きそう……。
「白鬼(ビャッキ)?」
その時、茜は懐かしい声を聞いた。
耳に心地良い澄んだ声。
「白鬼? どうしたの?」
ビャッキ?
それが自分への呼びかけだとは、茜は、すぐに気付かなかった。
「どうしたんじゃ、白鬼?」
「え?」
この声にも、聞き覚えがある。
ハイトーンの子供のような声。
視神経がようやく正常に活動し始めて、最初に目に入ったのは『玄鬼』の姿だった。
人型のではなく、黒猫の玄鬼だ。
「玄……鬼?」



