ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】


張り詰める空気。


少しでも身動きしようものなら、瞬時にその強靱なかぎ爪でなぎ倒される。


目を逸らしたら、そこで全てが終わってしまう。


それは、動物としての本能が抱く、狩られる事への恐怖。


「私の、従兄と友達を帰して!」


ともすれば、逃げ出したくなる恐怖心と戦いながら、茜は真っ直ぐ鬼の双眸を睨んで再び静かに言い放った。


数瞬後、茜は『ふうっ』と、張り詰めていた空気が緩むのを感じた。


鬼が、笑ったのだ。


『気の強い娘よの――。そんなに、この者たちが大事か? 人間の男など、吐いて捨てるほどいように』


ポウッ――。


まるで、別の空間から現れたように、鬼の足下に横たわる二つの人影が浮かび上がった。


ボロボロに引き裂かれた寝間着に滲む赤い色彩に、茜は息を呑む。


薄闇でもそれと分かる、蒼白な顔色。


閉ざされた瞳。


茜の脳裏に、倒れたまま目を覚まさなかった、真希の姿がフラッシュバックする。


背筋に、冷たい戦慄が走り抜けた。


「敬にぃ! 橘君!」