石段を登りきり、真っ直ぐ闇に包まれる境内に向かって足を進める。
その時不意に、茜の視線の先で青白い炎が出現した。
一つ、二つ、三つ。
まるで蝋燭に炎を灯すように、それは、茜を誘い増えていく。
その炎の導く先に、黒い大きな人影を認めて茜は思わず足を止めた。
ポウ――。
揺れる青い光に照らされて浮かび上がる、異形の影。
――鬼だ。
赤鬼よりも更に大きな鬼。
まるで黒い大きな岩の固まりのような巨体の上の、金色に輝く鋭い双眸が茜を見据えている。
そのあまりの大きさに足がすくむ。
『何用だ、人の娘。我の贄になりたいのか?』
地の底から響いて来るような声が、ピリピリと空気が震わす。
「私の、従兄と友達を帰して」
茜は、胸のペンダントを握りしめながら、鬼の目を真っ直ぐ睨み返した。



