「のんびりしては居られぬぞ。早くここを離れた方が良い」
「うん、分かった!」
何がどうなっているか分からないが、今までの経験から玄鬼の言うことに従った方が良い。
そう判断した茜は、すぐに隣の部屋に寝ている敬悟と信司を起こしに向かった。
「敬にぃ、起きて!」
勢いよく襖を開け、一歩足を踏み入れた。
そして、目に飛び込んで来た光景に、その場で思わず棒立ちになってしまう。
「な……に、これ?」
声が震える。
薄暗い部屋の中に灯る、スタンドの灯り。
そこに照らし出されたのは、乱暴にはぎ取られた布団と、一面に広がる赤黒い染み。
「敬にぃ……? 橘くん……?」
二人の姿は何処にもない。
「遅かったか」
「玄鬼! 敬にぃは、二人は何処に行ったの!? あなたなら、分かるんでしょう!?」
「行ってどうする? おぬし一人では敵わぬぞ?」
玄鬼が、ジロリと茜を見上げる視線を強める。
言外に、『今回は手出しはしない』
そう言っているのが、茜にも分かった。
でも、それでも。
「そんなの、やってみなくちゃ分からないじゃない! 良いから案内して玄鬼!」



