「花嫁さ。僕は、花嫁が欲しいんだよ」
花……嫁?
「そう。花嫁。伴侶。恋人。ワイフ。呼び方なんてどうでも良いけど、花嫁が一番しっくり来るかな。お姉さんは目下8番目にして、今までで一番有力な僕の花嫁候補さ」
何、こいつ!?
茜は、無性にむかっ腹が立ってきた。
自分勝手な花嫁探しとやらで、何人もの女性を殺傷しておいて、おちゃらけている目の前の鬼。
どんな凄い力を持っているか知らないけど、そんなの許せない。
「なに? この姿じゃ気に入らないの? じゃあ、こんな感じはどうかな?」
ユラリ。
茜は目の前の鬼が、少年から青年に姿を変えるのを、息を呑んで見つめた。
丸みを帯びていた少年らしい華奢な体は、精悍な青年の体躯へと見る間に変化していく。
少年の姿でも十分可愛らしかった外見は、まず美青年と言って良い姿に変わった。
「……私を、元の場所に帰して」
「なに? これでもだめなの? う~ん、じゃあ、これではどうかな?」
次の瞬間、目の前の鬼は、茜の良く知っている人物に変化した。
その姿を目にして、茜は固まった。
「茜――、これなら文句ないだろう?」
敬悟の姿をした鬼は、
敬悟の声で、茜に満面の笑顔を向けた。



