「ねぇ玄鬼。鬼が人間を襲うなんてことがあるの?」
ニュースにしろ、噂にしろ、今までそんな話を茜は耳にしたことがない。
「別に鬼に限らず、人間だって人間を襲うだろうが?」
「そ、それはそうだけど、今までそんな話聞いたことないから……」
鬼と言われて茜が思い出すのは、せいぜい昔話の『桃太郎』くらいしかない。
現実に赤鬼や、鬼女と化したお香を目の当たりにしていても、未だに実感がわかないのだ。
「鬼というのは、人間の心の中におるのさ」
ぽつりと呟くと、ツナマヨおにぎりを完食した玄鬼は、茜の膝の上で丸くなった。



