「何……それ?」
どういう意味なのか問おうとした茜は、玄鬼に腕を掴まれた。
その意外に強い力に、軽い痛みを感じて眉を寄せる。
「良いか、『外に出たいと』心から念じるんだ。行くぞ」
ね、念じる!?
ぐいぐいと腕を引かれて、茜は焦った。
「ちょっと、玄鬼!?」
いつもあれほど傍若無人な玄鬼が、見たこともないほど険しい表情をしている。
訳は分からない。
でもとにかく、玄鬼の言う通りにした方がいい。
そんな気がした。
茜は、ペンダントを握りしめ、『外に出たい』と念じながら裏門を抜けた。
が、案の定、何の変化も起こらない。
いや。
変化はあった。
今、裏門を抜けて、家の外に出たはずだ。
なのに、茜の目の前には、見えるはずの田園風景は無かった。
そこに広がっているのは、今出てきたはずのお香の屋敷。
色とりどりの花が、柔らかな日の光を浴びながら、そよそよと風に吹かれて揺れている。
佇む笑顔のお香の姿も、そのままだ。
「あ……れ?」
思わず、間の抜けた声が茜の口を突いて出る。
「ちっ、やはりまだ無理か」
まだ、無理?



