そして、翌日。
目覚めた瞬間、すべてが夢だったことを期待していた茜は、目の前に広がる現実に大きなため息をついた。
「起きるなりため息なんて、辛気くさいな茜。ため息の数だけ、幸せが逃げていくと言うぞ」
朝から、絶好調の玄鬼にさらにため息をつく。
こいつの性格が分かってきた。
『おちゃらけノーテンキ猫マタ』
その茜の心の声を読んだのか、玄鬼は愉快そうに『ふふん』と鼻を鳴らした。
「朝飯が終わったら、町に行くぞ」
「え?」
「何事をするにも情報収集が肝心だ。まずは現状を把握しなくては何も動き出せない。まあ、そういうことだ」
何の気まぐれか、猫マタ君は茜を助けてくれる気になったらしかった。
そうとなれば、善は急げだ。
「お香さん、私たち、今日は町に行くことにしました。あ、ほら、稼がなきゃいけないし」
朝食の後、茜はそうお香に告げた。
何も問題は無いはずだった。
だが――。
「え? 町に行く?」
お香は何故か、あからさまに動揺したのだ。



