「守りの……石?」


「そう。あなたを守ってくれているの。だから、外さないでいましょうね」


母の顔に浮かんだ透き通るような微笑み。


それはとても綺麗で、そして儚い。


『守りの石』


『自分を守ってくれる石』


幼い茜に、その言葉の意味が分かった訳ではなかった。


だが、ペンダントを外してしまうと、母を悲しませるような気がした。


――お母さんが喜んでくれるなら、このペンダントを付けていよう。


茜はこの時、幼い胸の中でそう心に決めた。


そして――。

いつしか、ペンダントは違和感なく茜の一部となり、その胸で静かにひっそりと輝いていた。