話を遮り、 俺は華奢な体を思い切り抱き寄せていた。 驚きからか咲雪は固まっていて、 吹き付ける風が長い髪の毛を揺らし、 甘いにおいを漂わせた。 「いい。 忘れられなくてもいいから。 ただ、傍にいてほしい。 傍においてほしい。 でも…、あの人を忘れられた日がきたなら …俺を、好きになってほしい。」 胸の中にすっぽりおさまる咲雪からは、 何の反応も返ってこない。