意を決して、 緊張から高鳴る胸を押さえながら 恐る恐るドアを開けてみると、 いつもの姿があることに安心した。 「咲ゅ…」 三日ぶりなことを、気にしないようにと いつもの調子で 呼びかけようとしたときだった。 俺よりはやく話し掛けた見知らぬ男と 咲雪は 楽しそうに話をしはじめてしまった。 俺には、 まだ一度だって見せたことのない顔で。