(来ねぇ、並木通りじゃなくて、家まで迎えに行けば、よかったか)

ダーリンは、白いブラウスに赤いスカートで現れた。

(かわいいじゃないか)

「行こう」

俺はダーリンの手を握って、歩き出そうとした。

ダーリンはそっと手を離した。

(嫌なのか、まぁ、いいか)

俺たちは、遊園地に着いて、ベンチに座った。

(電車の中で俺が話しかけても話さなかったな。俺といて楽しいのかな?)

ダーリンが俺の腕を取り、もう一つの手で目の前にあったコーヒーカップの乗り物をさした。

(さっきは手を離しといて…。自分からさわるのはいいのか?)


「わかった。乗るよ」

俺たちは、コーヒーカップに並んで座って、クルクル回った。


(けっこう、眼が回るな。それにしても、まだ腕を握ってやがる。握ってたところが汗ばんできた)

コーヒーカップの回転が止まった。

「おりるぞ」

俺はダーリンの手を離して、先におりた。


「さあ、つかまって」

俺は手を伸ばした。


ダーリンは手を握った。

(最初からこうすればよかったな)

「次はジェットコースターに乗るかそれともお化け屋敷にするか?」

「眼が回った」

(やっと、しゃべったか)