(疲れちまった。一服しよう。)

俺は、校舎裏に向かった。

女の子が、壁に寄りかかっていた。

(あのくもおんなだ)


「ヨウ」

俺は手を上げて言ったが、反応がない。


(とりあえず、一服しよう)

俺は、オヤジの服のポケットから、かすめ取ったハイライトを一本取りライターで火をつけた。

(ふう…)

俺も隣に寄りかかった。

くもおんなは、壁から離れ、歩いて行こうとした。

「おい!どこへ行く?」

「………」

くもおんなは、振り返って、じっと見た。


(またかよ)

「教室へ」

(当たり前のこと聞いちまったか)

くもおんなは去って行った。