心から遠ざかるようにわざと速く歩く。するともう、心の足音も声も聞こえなくなってしまった。 セミの鳴き声が、俺を余計に苛々させる。 ただの友達かもしれない。 だけど俺の知らない男と、俺の知らない時に俺の知らない名前を呼び合っているんだろう。 「おいっ、亮平!」 後ろから声を掛けられ振り向くと、女友達のスミレがいた。 「おぉ」 「彼女さんは?」 「あぁ、あいつ、男と仲良く喋ってたから置いてきた。」 「えっ、ひどくない?」