「ねぇよ。第一、俺の恋人はバンドだしな」




この一言に間違いはない。


実際、恋をする時間よりも、曲を創ったり、ギターの練習をする方がよっぽどマシだと思う。


男子高校生にしては異常かもしれないが、俺はそんな気持ちでいた。




「俺が恋愛に走るのは、よっぽどの事がない限りねぇな」



「もったいねーな猛。お前モテるのにな」




そう豪快に笑うシンジとライを見つめながら、俺はメロンソーダを口に流し込む。


―――もうすぐ、この俺が恋に走る事も知らずに。



≪猛の心のナカ・End≫