***




「お疲れー!」




バンド内のムードメーカー・アンドウの掛け声により、俺らは持っているグラスを口に運ぶ。


練習が終わり、俺たちはスタジオの近くのファミレスへと足を運んでいた。


ザワつく雰囲気の中、ふとユウトが俺に尋ねてくる。




「そういえば猛って、あんま浮かれた話聞かないよな。なんかねぇのかよ」




―――浮かれた話。


ユウトが指しているのは、俺の恋路の事に違いないだろう。


俺はふぅーっと息を吐くと、目を細めながらユウトを見る。




.