悩み疲れたあたしは、一時間目の授業を出席する事を諦めて、体育館裏でサボる事にした。


ザワザワと踊り出す木々を見ながら、あたしはそっと目を閉じる。





…あたしが先輩と知り合ったのは、入学式だった。


寝坊して入学式に遅刻しそうになるという、お決まりのパターンに焦っていたあたしは、とにかく走って学校を目指していた。




「リアルに遅れるっ…!…って、わぁぁぁぁ!」




ケータイで時間を確認していて前を見ていなかったあたしは、目の前から迫ってくる自転車に気が付かなかった。


…ぶつかるっ!



そう思って目をつむった瞬間、あたしは知らない誰かに手を引かれて。


…そのあたしを助けてくれた人が、猛先輩だったんだ。




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