と、その時だ。
「…でね、ここが…」
一生懸命説明する
紗彩ちゃんの頭が
柚の近くに来た。
女の子だから、
きっと良い匂いだろう。
きちんと手入れの
行き届いた髪の毛が、
柚の近くにある。
それだけで、あたしは嫌だった。
あたしの柚に近づかないで。
あたしの柚を取らないで…


耐えきれなくなって、
あたしは柚の部屋を出て行った。