人の心はすぐに変わってしまうけど。

朝貴を私は信じてる。

「忙しくて、お前に構ってられない時もあるけど。」

囁かれるのは私にとって極上に甘い言葉。

「…置いてかねぇから。」

それだけで良い。

もう何も望まない。

私は並大抵の女だから。

朝貴が居てくれれば。

「トーモー君、早く戻んなよ。」

ひょこっと上から顔を出したのはベース担当の城島(ｷｼﾏ)さん。

…いつからそこに？

「悪趣味。」

朝貴が毒づくと、聞こえなかったようなニコニコ笑顔になる。

バイバイと言いそうになって

「お前も来いよ。」


…強引だけど、優しく手を引っ張られた。



『クレッシェンド』
一方通行
END.