「んじゃあ、また今度。」

‘今度’がいつなのか、聞いた事はない。

茨が言って、車を降りると

「あたしも行く。」

珍しく亜利哀も降りた。

どうせ茨が行くのは、篠原グループの馬鹿デカいホテルで、亜利哀の証明が必要だったけれど。

いつもは電話などで手を回してくれている。

「…雨水がいた。」

理由を聞く前に答える。

茨は少し驚いてから、亜利哀の視線の先を見た。




「──雨水ちゃん。」

茨の声が雨水に聞こえたようだった。



END.