まぁ 待て。 落ち着こうじゃないか。俺よ。
前を見よう。 駄目だ。見たら現実になる。見るな。
矛盾したことを思いながら、俺は目を閉じ、再びあける。
そこ…トイレの便器の中に、白い卵。

……。
断じて言おう。 俺はやってない。


1・ぷろろーぐ 始まり。

帰宅するなり、便意を催してトイレに入った。そこは良い。
だが、便器のフタを開けるなり 両手のひらサイズの白い卵とご対面だ。
俺が産んだのか? 

一瞬 阿呆な考えが浮かんだが、違う。やってない。まだ。
いやいや、まて。まだも何も便器に卵産んだ経験はない。そう、それだ。
どうも俺は混乱しているらしい。

「誰だよ、こんな手の込んだイタズラしやがんのは…」

同じの何人かが頭を掠める。思わず髪をかき回す。
やりそうな奴は2、3人候補がいるが、後でしめればいいか。
結論を出して、便器の中の卵を掴む。と言っても用を足して無くても、俺しか使ってなくても便器だ。
雑巾つまみをしたい気持ちを抑える。やろうとしてすべったからだけどな。