「ぅおい。」
呆れた様に拓真が私を呼んだ。
「はい!」
「行くぞ」
と言って、一人で歩き出した。
待ってよー。
並んで歩こうよー。
少し遅れて歩き出すと、拓真が後ろに手を伸ばした。
「ん。」
手ぇ繋ぐってことだよね。
うわっ。
なんか急にドキドキしてきた。
手、汗かいちゃう。
「嫌ならいいよ」
余計なことを考えていて、手を出すのが遅かったのか、拓真の手は引っ込められてしまった。
嫌なわけないじゃん。
好きって言ったのに、伝わってないの?
「拓真!」
「あ?」
少し大きな声で呼んだ。
「拓真好き!」
そう言ったら一瞬で拓真の顔が赤くなった。
「大好き!」
「分かったから」
クルッと私の方に向き直り、私の横に並んだ。
「ん。」
またさっきと同じ様に手を出してくれた。
「ん!」
今度は躊躇せずに、手を繋いだ。
「またあほ面んなってる」
「だって嬉しいんだもーん。拓真だって結構あほ面してるよ?」
「! うっせ、ばーか」
おわり

