次の日も拓真は難しい顔で本を睨んでいた。
何読んでんだろ?
私はこっそり拓真に近付き本を覗いた。
「見てんじゃねぇよ」
「あ、おはよ」
また慌てて隠されてしまったけど。
英単語の教科書だった。
勉強…してるの?
拓真が?
拓真が教科書を持っているところなんて初めて見た。
授業もろくに出ていない拓真が勉強…。
「ねぇ拓真」
「ああ?」
「……。いいや。何でもない」
「何でもねぇなら、話し掛けんなよ」
隠したってことは、私に知られたくないってことだよね?
じゃあ私も気付いていないフリをしないとダメだよね。
今はまだ聞かないでおこう。
あなたが勉強している、
その訳を…。

