麗美は達郎の変化を敏感に感じとった。

「…レミ、ちょっと訊いていいかな」

『なに?』

「オレ、探偵をやってていいのかな」

『え?』

「どう思う」

『…なんかあったのね、達郎』

「ちょっと…」

『まぁ普通の人と違う事やってるといろいろあるわよね』

「…」

『でもね、達郎が探偵やってるおかげで助かってる人だって、いっぱいいる。あたしも含めてね』

だからさ、と麗美は言葉を続ける。

『あたしらは達郎に探偵を続けてもらいたいと思ってる―そんな理由じゃダメかな』

達郎の、電話を握る手に力がこもった。

「わかったよ、レミ」

『じゃ早く帰って来なさい。あんたが食べたがってたマロングラッセ買っておいたから』

「クリスマスケーキとは別に?」

『当然でしょ。その代わりあんたのチキンは無いからね』

「わかった」

達郎は苦笑いした。

「急いで帰るから、ケーキに手をつけるのは待っててくれ」