いや、そんなに強く言ったつもりはない。
問題は風呂から出た後だ。妻がえらい剣幕で詰め寄ってきたんだ。
その手にはセロテープでくっつけ直したキャバクラ嬢の名刺があった。
「あとことは想像できるだろう?おかげでこのザマだ」
木村はもう一度、眼帯を指した。
「セロテープでくっつけた名刺というのは?」
「店でもらったんだが、捨てそびれてね。玄関前であわてて破いたんだ」
「捨てる決心がつかなかっただけじゃないですか?」
「そ、そんなことはないよ!」
あわてて弁明する木村の顔を、達郎は唇を尖らせながら見つめた。
「と、とにかく」
木村は咳払いした。
「なぜ妻がキャバクラに行ったことを察したのか、この謎を解いてもらいたいんだ」
「謎、ねぇ…」
達郎はやる気のなさそうな顔でつぶやいた。
「破った名刺を未練がましくポケットに入れておいたなんてことは?」
「それはしてない!」
名刺は玄関脇の屑カゴに放った。
問題は風呂から出た後だ。妻がえらい剣幕で詰め寄ってきたんだ。
その手にはセロテープでくっつけ直したキャバクラ嬢の名刺があった。
「あとことは想像できるだろう?おかげでこのザマだ」
木村はもう一度、眼帯を指した。
「セロテープでくっつけた名刺というのは?」
「店でもらったんだが、捨てそびれてね。玄関前であわてて破いたんだ」
「捨てる決心がつかなかっただけじゃないですか?」
「そ、そんなことはないよ!」
あわてて弁明する木村の顔を、達郎は唇を尖らせながら見つめた。
「と、とにかく」
木村は咳払いした。
「なぜ妻がキャバクラに行ったことを察したのか、この謎を解いてもらいたいんだ」
「謎、ねぇ…」
達郎はやる気のなさそうな顔でつぶやいた。
「破った名刺を未練がましくポケットに入れておいたなんてことは?」
「それはしてない!」
名刺は玄関脇の屑カゴに放った。


