本屋を出た達郎は亜季のマンションへ向かった。

道すがら、名刺にあった亜季の携帯番号に電話をかける。

「はいもしもし」

「月見ですが今どちらですか」

「ついさっき買い物を終えたところです」

「僕は亜季さんのマンションに向かってるところです」

「あ、そうなんですか」

「僕の方が先に着くかもしれませんね」

「すみませんが待っててもらっていいですか?すぐに戻りますので」

「わかりました」

達郎は電話を切った。

亜季の住むマンションへはそれから5分もしないうちに着いた。

マンションは赤レンガ模様の10階建て。

縦だけでなく横も広い。

学生が一人暮らしするには豪華過ぎるマンションだった。

彼女は裕福な家の生まれらしい。

達郎はマンションの入口に目をやった。

さすがにガードマンは立っていなかったが、セキリュティは万全だろう。

だとしたらマンションの前で待つのは、はばかられる。