月と太陽の事件簿11/愛はどうだ

大学を出たのは午後6時過ぎ。

いつもなら日が落ちて暗くなってる時刻だ。

だが今日に限っては明るく感じた。

やはりクリスマスの雰囲気が街を包んでいるせいだろう。

最近では一般家庭でもクリスマスのイルミネーションに凝る家が多いが、達郎が何気なく見た家もそうだった。

家の門に下がる色とりどりの電飾はLEDのチューブだろう。

壁にはサンタやトナカイ、星やキャンドルが光を放っている。

庭には小さなメリゴーランドが回っていた。

しばらくすると、家の中からクラッカーを鳴らす音が聞こえてきた。

今から一家そろってのパーティーがはじまるのだろう。

達郎にはクリスマスの思い出があまりない。

祖父や父は仕事で家を空けていることが多かったし、祖母はクリスマスに馴染みがない人だった。

そして体が弱かった母は寒くなってくると体調を崩すことが多かった。

とてもクリスマスを祝う気持ちにはなれないというのが実情だった。