月と太陽の事件簿11/愛はどうだ

「それならいい」

教授はうなずいた。

「月見くん。葉野くんには『露』と答えなさい」

「露、ですか」

「そうだ」

教授は再びうなずいた。

「だが、今回の件は君にとってあまりいい結末を迎えないだろう」

しかし、と教授は言葉を続ける。

「けして葉野くんを責めないでやってほしい」

「…それはどういうことですか?」

「すまない。僕のから言えることはここまでだ」

緒方教授は頭を下げた。

これ以上訊いても同じ返事が返ってくるだろう。

ならば教授の言う『露』の意味を考えるしかないと思った。

達郎は立ち上がった。

「これから葉野くんに会いに行くつもりかい」

「はい」

「なにかあったら戻ってきたまえ。僕はもうしばらくここにいる」

片付けが終わらなくてねと、緒方教授は乱雑に物が積み上げられた机を指して苦笑した。