「そんなに似てますか」
「生き写しとまではいかないが、雰囲気がね」
やはりそうかと達郎は思った。
同時にあることが頭に浮かんだ。
「緒方先生は母のことが好きだったんですか?」
達郎はそれを口にした。
「否定はしないが、昔の話さ」
緒方教授はほほ笑みながら首を振った。
ここに至って達郎は、緒方教授と亜季との間に、やましい関係などないと確信した。
もっともそれがわかったところで、すべてが解決するわけではない。
「ところで月見くん、これからどうするつもりかね?」
手紙の差出人を探し出すあてはあるのかと訊かれ達郎は首を振った。
「見当もつきません」
達郎は正直に言った。
すると緒方教授から
「月見くんは平安文学には詳しいかね」
不意にそう訊かれ、達郎は返事に窮した。
「高校で古典は選択していたかい」
達郎はうなずいた。
「では『伊勢物語』は読んだかね?」
「二条の后との話は授業で習いました」
「生き写しとまではいかないが、雰囲気がね」
やはりそうかと達郎は思った。
同時にあることが頭に浮かんだ。
「緒方先生は母のことが好きだったんですか?」
達郎はそれを口にした。
「否定はしないが、昔の話さ」
緒方教授はほほ笑みながら首を振った。
ここに至って達郎は、緒方教授と亜季との間に、やましい関係などないと確信した。
もっともそれがわかったところで、すべてが解決するわけではない。
「ところで月見くん、これからどうするつもりかね?」
手紙の差出人を探し出すあてはあるのかと訊かれ達郎は首を振った。
「見当もつきません」
達郎は正直に言った。
すると緒方教授から
「月見くんは平安文学には詳しいかね」
不意にそう訊かれ、達郎は返事に窮した。
「高校で古典は選択していたかい」
達郎はうなずいた。
「では『伊勢物語』は読んだかね?」
「二条の后との話は授業で習いました」


