「緒方先生、葉野亜季さんはご存じですか」
亜季の名前を聞いたその途端、緒方教授の表情が変わった。
「知っている。彼女は僕のゼミの生徒だからね」
それまで浮かんでいた笑みは消え、かわりに少し目つきが鋭くなった。
「彼女がどうかしたのかい?」
「この手紙について頼まれごとをしました」
達郎はポケットから封筒を取り出し、緒方教授に渡した。
教授は封筒の表裏を眺めた後、中から便箋を取り出して、その文面に目を通した。
「なるほど」
しばし流れた沈黙の時間を破ったのは、緒方教授だった。
「葉野くんがこの手紙を受け取ったのかい?」
「はい。今朝、自宅の郵便受けに入っていたそうです」
「それでこの手紙についてはなんと?」
「まったく心あたりがないと言ってました」
達郎の言葉に、緒方教授は腕組みをした。
口を真一文字に結んで視線を落とす。
達郎は教授の表情をそれとなく観察した。
亜季の名前を聞いたその途端、緒方教授の表情が変わった。
「知っている。彼女は僕のゼミの生徒だからね」
それまで浮かんでいた笑みは消え、かわりに少し目つきが鋭くなった。
「彼女がどうかしたのかい?」
「この手紙について頼まれごとをしました」
達郎はポケットから封筒を取り出し、緒方教授に渡した。
教授は封筒の表裏を眺めた後、中から便箋を取り出して、その文面に目を通した。
「なるほど」
しばし流れた沈黙の時間を破ったのは、緒方教授だった。
「葉野くんがこの手紙を受け取ったのかい?」
「はい。今朝、自宅の郵便受けに入っていたそうです」
「それでこの手紙についてはなんと?」
「まったく心あたりがないと言ってました」
達郎の言葉に、緒方教授は腕組みをした。
口を真一文字に結んで視線を落とす。
達郎は教授の表情をそれとなく観察した。


