「何ですか、頼みって」

R大学喫茶室。

奥の席で達郎は木村と向かい合っていた。

「君に解いてもらいたい謎があるんだ」

祖父は元法務大臣。

父は現警視総監。

さらに兄は警視正という司法一家に育った達郎は、自身も抜群の推理力を持ち、民間協力員として、数々の事件を解決している。

その功績と存在はここR大学でも広く知れ渡っていた。

木村は、その達郎の能力を欲していた。

「これに関することなんだけどね」

木村は右目の眼帯を指し、頬をふくらませながら一度大きく息を吐いた。

ここからは恥をしのんでの話になる。

覚悟を決めた木村は、まくしたてるように勢いよく話はじめた。

「昨夜のことだ。僕は行きたくなかったんだが、誘われて仕方なく女の子のいる店に行った。

そう、キャバクラというやつだ。

いや本当に誘われて行ったんだ。

誘ってきたのは学生時代の先輩でね、それで逆らえなくて仕方なくね。本当にもうあの人は…。