「電話を終えた後、私の視線に気付いた緒方先生は、あわてて手紙を隠しました」

追及はしなかったものの、亜季はその行動を不審に思った。

「私が受け取った手紙とは関係ないかもしれませんが、気になったもので…」

「いちおう参考にさせてもらいます」

達郎は手紙と伝票を手に立ち上がった。

「さっそく今から調べます」

「お願いします」

「案外早く片付くかもしれません」

「できれば今日中に解決してもらえると嬉しいです」

「今日中ですか」

「無理を言ってるのは承知の上です」

亜季は申し訳なさそうに言った。

「でも今日はクリスマスですよ」

亜季は最初そうしたように、再び窓の外に目をやった。

街頭にはプラカードを手にしたサンタクロースがあちこちに立っている。

店先にはすべて「Xmas」の文字がおどり、行き交う人々の手にはクリスマスカラーの箱があった。