月と太陽の事件簿11/愛はどうだ

それはどっかのドラマの影響だろうと思ったが、口にはしなかった。

ただ亜季の依頼に対して前向きになっていることは自覚していた。
それは民間協力員として事件に向かい合う時とは、明らかに違う気持ちだった。

「この手紙の主を見つければいいんですね」

亜季はうなずいた。

「見つけた後はどうしますか」

「こんなことはやめてくださいとお願いするつもりです」

「言って聞くような相手ではなかったら?」

「それは…」

「住んでいるのは実家ですか」

「いえ、私は一人暮らしです」

「郵便受けに入っていたとすると、この手紙の主はそれを知っているわけですね」

亜季の表情が変わった。

「すみません。貴女を怖がらせるつもりはなかったのですが」

「いえ、大丈夫です」

「ご存じかとは思いますが、僕の身内には警察関係者が多くいます。もしもの時にはお力になれるでしょう」

達郎は普段なら絶対に自分から言わないことを口にした。