約20分後。

大学近くのコーヒーショップで、達郎は亜季とおちあった。

2人は店の2階に上がり、街を見下ろせる窓側の席に座った。

亜季はカプチーノ、達郎はホットチョコレートをオーダーした。

「甘い物が好きって本当なんですね」

亜季はそう言ってほほ笑んだ。

口調から察するに、亜季は達郎の事をそれなりに知っているようだ。

となると、話というのは【そういう話】なのだろう。

「雪が降りそうですね」

亜季は窓の外に目をやった。

空には灰色に染まった雲がはりついている。

天気予報でも、今日は夜から雪になるだろうと言っていた。

達郎はホットチョコレートをスプーンでかき混ぜながら、亜季の横顔をそっと眺めた。

切り揃えられた前髪に、えりあしまでのショートヘア。

少し細い目と穏やかな口もとは、白を基調とした服装とあいまって、亜季にビスクドールのような美貌を与えていた。