そこでしか買えない限定品ではない。

それをわざわざ馴染みのない店で買ってきたとすれば、確かに怪しい。

「次に食事かお風呂かを訊かれ、お風呂と答えましたよね」

「そ、そうだよ」

「それって、女性の匂いを消したかったからじゃないですか?」

つまりはキャバ嬢たちがつけている香水や化粧品の残り香を消そうとしたのではないか、ということである。

「…!」

息を飲み、否定しない木村の顔を、達郎はじっと見つめたまま、さらに言葉を続けた。

「洗濯物のことを注意したのは、キャバクラに行ったから、無意識のうちに強気に出たんじゃないですか?」

要はキャバクラに行ったことが後ろめたく、それを気取られまいと、わざわざ洗濯物を注意したというのだ。

「自分のマイナス点をごまかすために相手を貶めようとした…つまり逆ギレですね」

「その、なんだ…」

木村はカラカラになった口内に唾を満たしながら口を開いた。