そんな私は宮瀬紫音(みやせ しおん)。 勉強も運動も平均並。 どこにでもいる様なごく普通の高校生。 叶わない恋なんて分かっていながらも、 懲りずに梓を好きでいる愚かな女だ。 「しーちゃん、どうしたの?」 見つからない様にこっそり梓を覗き見ていると、 背後から可愛らしい声がして振り返る。 大きい瞳と長い睫毛。 ふわふわと揺れる栗色の髪をした彼女は、桃宮鈴(ももみや すず)。 私の親友だ。