くちづけのその後で

【西本颯斗】


あたしの目にその名前が飛び込んで来た途端、大きなため息が零れた。


16時に予約が入っている西本君の名前が、予約表にあるのは当たり前なのに…


何故か、不意打ちを喰らったような気分になってしまった。


もう帰りたい……


時間が経つに連れて、西本君への苦手意識に拍車が掛かってしまったみたいで、それがあたしを憂鬱な気持ちへと引き摺(ズ)り込んでいく。


あたしの気持ちは深く沈んだままだったけど、程なくして午後の診察が始まった。