くちづけのその後で

「朱莉!」


不意に後ろから呼ばれて、反射的に振り返った。


すると、病院から出て来た颯斗が駆け寄って来た。


「颯斗……」


「何で黙って帰るん?」


「だって……」


別れてから一度も会っていない相手と、何を話せばいいのか全くわからなくて…


逃げるように病院を出たから、颯斗に訊かれてすごく戸惑った。


「どうやって帰るん?」


「タクシーで……。海斗が寝てるから……」


あたしが小さく答えると、颯斗はニッコリと笑った。