くちづけのその後で

「えっ……?でも……」


「颯斗から聞いてないかもしれませんけど……。あたし達、もう別れたんです。じゃあ、失礼します……」


「えっ……?朱莉ちゃんっ……!」


驚いている颯斗の母親に頭を下げて、逃げるように病院を後にした。


「寒……」


頬に冷たい風を感じながら、ゆっくりと夜空を仰ぐ。


病院に着いた時には気付かなかったけど、雲一つ無い空にはたくさんの星が瞬いている。


しばらくの間、吸い込まれてしまいそうなくらい綺麗な夜空を見つめていた。